中学歴史教科書の評価基準と評価項目
平成24年度の採択対象となる7社の歴史教科書を、下記の「基本的判断基準」によって「個別の評価項目」に揚げた80の歴史項目について、比較検討して、その評価を点数で表し、中学生にとって、どの教科書が一番良い教科書かを明らかにしようとする。
基本的判断の基準
教育基本法、学習指導要領に従っているか
日本の立場で書いているか
外国の立場で書いていないか
他国の宣伝をしていないか
マルクス主義階級闘争史観で書かれていないか
歴史上の人物の数は十分か
どんな人物を重視しているか
日本に敵対した人物を載せていないか
日本史として載せるべき事を削除していないか
韓国・中国式の読みをどう扱っているか
自国を愛する教育指導要領の指導に適しているか
文化に十分なページを使っているか
個別の評価項目 80項目
古代 15項目
☐ 古代史と大和朝廷を階級闘争史観、支配・被支配で見ていないか
☐ 支配、被支配の言葉を使っていないか
☐ 神話・伝承をきちんと紹介しているか
☐ 用語として「大和朝廷」を使っているか
☐ 邪馬台国を史料批判しているか
☐ 帰化人を渡来人と読んでいないか
☐ 任那を外していないか
☐ 朝貢冊封体制を正しく説明しているか
☐ 聖徳太子の隋への手紙「日出づる処の天子」を載せているか
☐ 天皇号、国号の成立と意義を書いているか
☐ 奈良時代の貧富の差を強調していないか(食事の写真比較ほか)
☐ 蝦夷の抵抗を過大視していないか
☐ 律令制 支那の法制度を日本式に変えた、また空文化したことを書いているか
☐ 天皇の事蹟を書いているか
仁徳天皇の民の竈
醍醐天皇 寒い夜に衣を脱ぎたもうた話
☐ 平城京、平安京に城壁が無い
ヨーロッパのイギリスから、アジアの支那まで皆城塞国家であった
鎌倉時代 7項目
☐ 鎌倉幕府と朝廷の関係をきちんと記述しているか
☐ 元寇で、元軍を撃退した日本武士の勇戦を記述しているか
☐ 元寇で、日本より高麗のことを多く書いていないか
☐ 日本側が受けた被害が記述されているか
☐ 倭寇、二つの視点からの比較をしているか
☐ 倭寇イコール日本人、と決めつけていないか
☐ 倭寇の蛮行だけが強調されていないか
中世 2項目
☐ 農業などの発達が、生活の向上をもたらしたことが記述されているか
☐ 一揆の資料の取り扱いに偏り一面的な考えの押し付けはないか
階級闘争史観になっていないか
近世(安土桃山・江戸時代) 9項目
☐ 朝鮮出兵を世界の歴史を背景に理解させているか
☐ 朝鮮出兵を現在の価値観で裁断していないか
☐ 朝鮮出兵で、わが国と朝鮮がバランスよく記述されているか
☐ 百姓一揆で、江戸時代の百姓の立場を正当に評価しているか
☐ 百姓一揆を特定の歴史観で見ていないか
☐ 琉球とアイヌが義務教育の教科書にふさわしい視点で記述されているか
☐ 江戸時代像の再評価をしているか
☐ 今に生きる江戸時代の文化遺産を中学生に伝えることが出来ているか
☐ 日本人の道徳的規範を伝統として中学生に伝えようとしているか
近世 14項目
☐ 欧米諸国のアジア進出の実態が適切に記述されているか
☐ 侵略と進出の用語の使い方が統一されているか
☐ ペリー来航の背景と理由が正確に記述されているか
☐ 開国要求を巡る幕府の対応がどのように記述されているか
☐ 当時の朝幕関係に関して公正に記述されているか
☐ 重要資料「五箇条の御誓文」は適切に取り上げられているか
☐ 大日本帝国憲法の制定で、アジア初の近代憲法が定着した意義を記述しているか
☐ 立憲国家としての制度が正当に扱われているか
☐ 立憲君主制の憲法規定が正しく説明されているか
☐ 皇室制度に関して公平に記述がなされているか
☐ 日清戦争に至る背景が記述されているか
☐ 日露戦争の記述は適切か、この戦争の本質を説明しているか
☐ 世界に影響を与えた日露戦争関連の記述は適切か
☐ 条約改正に協力した人々の業績を取り上げているか
昭和期の政治外交 15項目
☐ 二十一カ条の要求に関して多面的、多角的な扱いがなされているか
☐ 二十一カ条の要求の資料の扱いは適正化
☐ 韓国併合の史実は公正に記述されているか
☐ 台湾との関係はどの程度記述されているか
☐ 日中間の人的交流がその程度取り上げられているか
☐ 日本をファシズムと同一視していないか
☐ 日中間の戦争史の記述はバランスがとれているか
☐ 南京事件について多面的・多角的に記述しているか
☐ アジア諸国の独立への動きについて公平に記述されているか
☐ 大東亜戦争、太平洋戦争の記述に偏りはないか
☐ 日米双方の戦争回避交渉
☐ 史実としての信憑性
☐ ポツダム宣言と原子爆弾投下
☐ 終戦史を巡る取り扱い
☐ 戦時被害および戦争の名称
現代 13項目
☐ 日本の敗戦を喜ぶような描き方をしていないか
☐ ソ連のシベリヤ抑留について言及しているか
☐ 日本国憲法は日本に主権が無かった時代に占領軍が強制して制定された事実を明記しているか
☐ 極東国際軍事裁判について公正に判断する配慮がなされているか
☐ 独立回復、日米安全保障条約に付いて一面的な記述をしていないか
☐ 自衛隊に付いて一面的な記述をしていないか
☐ 戦後補償歴史認識問題について一面多岐な記述をしていないか
☐ 共産主義の総括をしているか、人的被害を書いているか
☐ マルクスと社会主義の評価
☐ ロシア革命とシベリヤ出兵の評価
☐ スターリンの評価
☐ ソ連、中共、インドシナ諸国の共産主義をきちんと総括しているか
☐ まえがきとあとがき
文化史は適切か 5項目
☐ 飛鳥時代 法隆寺
☐ 天平文化 万葉集
天皇も防人も庶民も一視同仁で作品を集めている
帰化人、日本人の区別が無い
この点に触れているか
☐ 平安文化 源氏物語
☐ 鎌倉時代 平家物語
☐ 化政文化 浮世絵
以上
参考文献:三浦朱門『2006年版 全「歴史教科書」を徹底検証する』小学館、2005年
観音寺市 昭和町 1-7-5
岡田隆志
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